格納庫

ごみ箱

別の形で公刊するに至った草稿群を保管しておく格納庫。ごみ箱ともいう。

当ウェブサイトにて1995年から1999年にかけて順次公開された草稿群。
2001年12月30日、「秩序の方法」として弘文堂から刊行。
  1. 儀礼についての序説
    42kBytes
    儀礼研究への序説。特定の行為とその「やり方」との結び付きの規約性を主題化しようという宣言。何度手直ししてもなかなか気に入った議論にならない。おそらく一番頻繁に手直ししている論考。
    (Sept. 21, 1997; last updated July 15, 1998)

  2. 寡婦を飛び立たせる方法:儀礼における二つの問題系
    42kBytes
    何が儀礼を儀礼に見せるのか。服喪の最後の日に残された寡夫(寡婦)に対して行なう「巣立ち」と呼ばれる儀礼的手続きを例にとって、儀礼のなかでの諸行為とコンテキストとの接合の唐突さ、恣意性、規約性と、その一方での象徴的な二項対立的区別の織りなす諸関係、この二つを儀礼の主要な問題系として提示する。
    (originally May, 1995; last updated Sept 21, 1997)

  3. ヴィトゲンシュタインの儀礼論
    45kBytes
    フレーザーの『金枝篇』に対するヴィトゲンシュタインの批判を再検討し、上の二つの問題系をヴィトゲンシュタインの儀礼論に確認する。
    (June 1996)

  4. 妻を引き抜く方法:儀礼をめぐる問題系の配置
    60kBytes(Sept.21, 1997)
    夫が水甕に触れることを禁じるドゥルマのタブーを取り上げて、儀礼の二つの問題系の相互の結び付きを分析的に論じる。規約性と有縁性というソシュール言語学の二つの軸、行為の複数の記述というアンスコムの構図、サールの構成的規則、隠喩的な語り口で構成された経験領域についてのレイコフの隠喩論、などという基本的な分析道具の提示。
    (Oct.7, 1997, last updated Oct.12, 1997)
    民族学研究の特集論文版の議論の不足している部分を補充したもの。

  5. キドゥルマと神秘的制裁
    44kBytes
    上記「妻を引き抜く方法(補充版)」のさらなる補論。タブーに関する人類学理論のありふれたイディオムのひとつである「神秘的制裁」という概念を批判することからはじめて、「自然の秩序」/「社会的な約束事の秩序」という二項対立的な図式を無効化してしまうような、比喩的な語り口によって構成された秩序という概念を提示する。
    (Oct. 28, 1997. last updated on Nov. 30, 1997)

  6. 秩序と災厄:ドゥルマの屋敷における順序とその乱れ
    125kBytes
    今まで「違犯と不幸」と言うタイトルでここにあったもの。規則の違反と不幸との結び付きの論理が、現実の出来事の展開の中でどのように用いられているかを、秩序と不確定性の問題を焦点に据えて考察を進める。ドゥルマにおける屋敷の秩序をめぐるさまざまな語り口の紹介をかねる。儀礼的規則の構成的規則としての側面、すなわち根拠の問いを 遮断する能力が、逆に絶え間ない変化を動機づけているというパラドックスが明らかにされる。このコーナーで一番古い論文。出版に向けて最終的に手を加えたものに更新。字句の訂正(「呪」と言う言葉の消去)が主な変更点。
    (originally March 20, 1995; last updated on July 7, 1998)

  7. 屋敷の壊し方(1):まぜこぜにする
    70kBytes
    以前(1988)書いたドゥルマのインセストタブー風の概念についての論文の大幅改訂版。治療儀礼の記述を事例をあげて具体的にすると同時に、1988 の論文では無視していたパターンからはずれる見解に正当な位置づけを与える。また「妻を引き抜く方法」などで展開された考え方で整理し直す。
    (April 18, 1998; last updated April 21, 1998)

  8. 屋敷の壊し方(2):追い越しと後戻り
    72kBytes
    これも過去の再生。すぐ上においてある 1995 年完成の「違犯と不幸」の中から屋敷内部の秩序付けと、その狂いから来る災いについて紹介した部分を、より詳しく、ドゥルマの人々の語りを引用しつつ解説したもの。
    (July 1st, 1998; last updated July 1st, 1998)

  9. 屋敷の成 り立たせ方:「産む」という比喩について
    129kBytes
    1995 年完成の「違犯と不幸」の中の中心部分でありながら、十分論じら れなかった「産む」という作業の詳細な分析と、1989年の「死を投げ棄 てる方法」の民族誌的分析の部分の改訂作業の結果として、ずいぶん長 い考察になってしまった。この一連のページで出来上がりつつある観点 にしたがって論を建て直している。ドゥルマの人々の語りをここでも、 これでもかというくらいに大量引用している。
    (Oct. 14, 1998; last updated Nov. 23rd, 1998)

  10. 「外」の想像力:子供を「外に出す」方法
    81kBytes
    上とほとんど同じのりの分析。というか本来ひとつのものにする予定で書いていたのだが、上の「産む」話が長くなり過ぎたので、別のひとまとまりの論考にすることにしたわけで、まるでマーラーの4番の成立事情だ。「産む」という操作の反対として「外に出す」という操作があるのだが、これが一連の比喩的語り口を内部から崩壊させてしまう契機を含んだ観念であり、一連の語り口をまったく別種の想像力で組織された言説空間に接続してしまう観念なのだ、などということを論じている。
    (Nov. 18, 1998)

  11. 出来事の因果性
    57kBytes
    「屋敷の壊し方(1)」および「同(2)」、「屋敷の成り立たせ方」、「外の想像力」の互いに関連し合った4つの論考で詳細に紹介した一連の比喩的語り口が現実の出来事の展開の中に占める位置を検討していく。その第一歩。本論考では現実の出来事の展開と屋敷の秩序をめぐる比喩的語り口が主張する因果的な連関との絡みあいを示す。この一連の語りを可能にしているのは、出来事の不確定性--出来事の意味が未来の不確かな出来事の生起によって決定されること--なのではないだろうか、ということ。
    別稿「秩序と災厄:ドゥルマの屋敷における順序とその乱れ」において描いたアウトラインを膨らませた一連の論考はもうすぐ終結しそうだ。
    (Dec. 15, 1998)

  12. 正しさの問題:「悪い死」の冷やし方
    72kBytes
    マハナ(≒ハンセン氏病)の老人の埋葬の事例を通じて、「ドゥルマのやり方」についての知識の不確実さが、現実の実践の中でどのような形で折り合いをつけられていくのかを示す。知識一般についての考察を含む。
    書き上げるまでにちょっと時間がかかりすぎているような。
    (Mar. 11, 1999)

  13. 時間と規約性:結論
    55kBytes
    このページに置いた一連の論考のまとめにあたる。前半部分で、それぞれの論考の中心となる議論を筋道だって要約した後に、恣意的な秩序の二面性について「秩序と災厄」の中で用いた素材で、最後に残っていた事例を用いて論じる。ようやく(不満ではあるが)私の最初の作業に一段落がついた。
    これでようやく新しいテーマに向かうことができる。
    (July 22, 1999)