7957 (唱えごとは聞き取れない小声で始まり、「アラビア語」に移行する。)
nomalikia wa jidi yakka abud wa iyakka na sitahili maaliki ombihini suratha alfunadhim namthalahim.(クルアーンの冒頭Al-Fatihahの一部にみえる。)
(最後にスワヒリ語に移行する)
Mm(Mugala wa Masinde):さて今日、私たちはここに、一人の子供(Chariのこと)のための鍋(chungu=nyungu)を置きます。この子供は見習いではなく、専門家(fundi)です。彼女はペンバ人(mpemba)の憑依霊をもっています。そのペンバ人はムキフ(地名)のペンバ人、プグプグニ(地名)のペンバ人、ジュング・クー(大鍋 jungu kuu=nyungu bomu)のペンバ人、あの祖霊(死霊 mizimu=k'oma)のチェナニ。いつもジャバレ導師(mwalimu jabale; jabale=大岩)と一緒にいる者です。
このような時期のこのような時間に(2月13日頃にラマダーンに入るので、この「鍋」治療はラマダーンにかかってしまうことになる)実施することを受け入れてくださるよう、今私が全能の神に祈るのも、この子供には(多くの)問題や悩みがあるからです。そしてこの子供のために、私たちが今日与えたいのは、この煙たつもの(fusho=mafufuto ここでは蒸気を立ち上らせる鍋の内容物を指す)なのです。もし彼(憑依霊ムペンバ)がプグプグニから来る者なら、港から来る者なら、海辺から来る者なら、大きな洞窟から来る者なら、その(鍋の)蒸気は、お前白い雄鶏のように光となって、彼をここに導くでしょう。そしてはっきり申し上げたい。やってきたら、彼女の身体の節々(maungo=vilungo関節)に腰を下ろすのではなく、この赤い雄鶏の「馬(farasi)」のうえに腰をおろしてほしい。そうすれば、彼(ペンバ人)は彼女の体の関節に座わりこまずに、開けた場所を歩きまわることができます。彼女の身体を訪ねたいなら、夜明け近くに彼女を訪ね、癒やし(治療術、施術 uganga)と看護(uuguzi=uroromi)のメッセージ(salamu(salaam)=メッセージ、挨拶)を与えてください。彼女が、スディアニ、ジャバレ導師、ドゥニア導師(世界導師 mwalimu dunia, ilimu dunia; dunia=世界)、そして海のドラゴン(nondo baharini)と協力していることはご存知でしょう。彼、世界導師と一緒にいるのは他ならぬ白人(muzungu 白人)とスディアニ(Sudiani スディアニ導師=スーダン人)です。彼らはいつも一体です。彼らの特別な兵士が、ライオンのジン(jine la simba, jinali la simba=jine tsimba)とウィバロのジン(jine la wibaro=?)、マサイ人のジン(jine la masai=jine bara wa chimasai)、メッカの子供(toto la maka=?)です。
彼らは皆、彼女が昼も夜も仕えている人々です。しかし、彼女が頭(kichwa=chitswa)として仕える目的は、このようなメッセージ(挨拶)を受け取り、「こうしなさい」と言われることです。でも、彼女はまだ正式には認められていません。もしあなたがた自身が本当に、大海原、泡立つ白い水、赤い土を通ってやってきたのなら、今日彼女の身体にやって来て、メッセージ(挨拶)だけを伝えてほしい。しかし、もしあなたがそちらからやってきて、あなたの滞在先(彼女の身体、あるいは頭)がまだきちんと用意できていないというのなら、私がこの鍋に乗せているこの「馬」(赤い雄鶏と白い雄鶏)に座っていてください。そして良き日が来ると、私たちも出席しに参ります。私たちはモスクを建て、万事調えて、ともに食べたり飲んだりします。
(pause: muganga gets Chari seated in front of the nyungu and covers her with the white cloth of Mwalimu Dunia, and continues to ku-kokotera)
(聴取不可能なささやき、続いて「アラビア語」で叫ぶ。)
Ahya salaam. Ya iya salaam. Allahu akubar. Allah akubar(何度も繰り返す)
ごめんください(Hodi)、ごめんください、ごめんください。私は70の扉、その7番目の扉を叩きます。あなたの場所、不具のアラブ人、ブルシ(バルチスタン)のアラブ人、ムバラワ(ソマリアのアラブ系集団)のアラブ人、マスカット(オマーン)のアラブ人、短剣のアラブ人、剣のアラブ人よ。ジャンバ巨人(Jamba jitu)、海のドラゴン(nondo baharini)、人食いドラゴン(nondo mla watu)のウミ・スディアニ(Umi Sudiani)よ。妖術使い(aanguzi=alogi, atsai)であり、呪物除去者(chomozi=muganga wa ku-ng'ola vitu)、シェレレ(Shelele=?)であるペンバ系のジンよ。ライオンのジン(jinali simba=jine tsimba)よ。私があなた方に最初に手渡すもの、それがこれらの「馬(farasi)」です。これらの馬は仕事のあいだじゅう、そこににいます。これらの「馬」はそこにとどまります。
泡立つ白い水から来る者、赤い土から来る者、港から来る者、浜辺から来る者は、この「馬」に座ります。その到来は夜明け近く、この道をとおってメッセージ(挨拶)を届けに来ます。このように、このようにやって来る。それこそが癒やし(uganga)の専門家のやり方であり、紳士たるべきやり方であり、きわめてきわめてサマリア人らしい(kisamaria)やり方なのです。ですからどうか落ち着いてください(poleni=poreni)。アラビアのアラブ人よ。私たちはここでたくさんたくさん話をして、そしてここにある鍋の中でお互いを理解し合いましょう。
(muganga places a red rooster, and then a white rooster on the head of Chari)
Mm: さて、鶏というものは(こんなふうに置かれたら)すぐに飛び去りたがるものだけど、こいつらは縮こまってるね。 Mc(Murina wa Chimera):それどころか、お互いの上に乗ろうとしている。どっちも、ほんのちょっとじっとしたかと思ったら、あがいて仲間の上に乗ろうとしているよ。
(muganga resumes his makokoteri)
Mm: だからあなたも、マスカットのアラブ人よ。ここに馬が... ここに馬がいます。この馬は、港や浜辺を出た後、来て(患者の)体の関節の上に座る代わりに、来て座っていただくためのものです。 この馬こそが、その良き指をもて、あなたがたに、彼女がこれから(癒やしの)仕事につくことを示してくれる馬なのです。彼女はけっして自分から行って、その仕事がしたいと全能の神に祈ったわけではありません。むしろ、全能の神によるものなのです。彼女は全能の神ご自身によってそうする責任を負わされたのです。そして、全能の神によって、彼女が癒し手(治療師、施術師 mtibabu=muganga)となるべきことが彼女に示されたのです。しかし、彼女が行ってそれを求めたのではありません。そして今、彼女はこの癒やし(治療術、施術 uganga)の仕事の一部を手に入れました。彼女がそれ(治療術の一部)を手に入れたのは、ただ彼女の病気のせいなのです。あれやこれやの病気でした。
(muganga Moneni makes light jokes about the roosters on Chari's head.)
Mm:頭の上で大人しくしてるね。どこにも行こうとしない。糞をされるといやだね。(笑) C:ヤギを買ってもらえなかったのかい? Mm:そう。
(The roosters jump away, then muganga shakes hands with Chari(with their right hands), and start new makokoteri)
7960 (「アラビア語」Al-Fatihaの一部に思える。最後はスワヒリ語)
Mm: Bismillah rahmani rahmin. audhubilahi minashetwani rajimu. Nawe malikia wa midini yaka na budhu, yaka na stahimin. Iddhi na amsratam. Tahnihiu wa taireni taireni. Mm: みなさんお聞きください、お聞きください(taireni taireni)そして私たちはtaire(注意を促す言葉)と言います。洞窟(に住まう憑依霊)と(地下の)祖霊は、お聞き届けください。落ち着いてください(Poleni)。アラビアのアラブ人、あなたはスルタンの息子、マウラーナの息子です。マウラーナはあなたであり、偉大な巡礼者であり、岩山の巡礼者であり、神の獅子です。私たちは、あなたが世界導師(ilimu dunia)とごいっしょであることをはっきりと伝えるためにここにいます。あなたは戦士とも、獅子とともごいっしょにおられます。あなたは、祝祭の上に座る者ロハニと、お金の上に座る者ロハニともごいっしょです。だから今。私はこう言います。私は今日、内陸部(bara)と海岸部(pwani)の蒸気を生み出すもの(fusho=mafufuto)と湖(ziwa=ziya)をあなた方にお渡しするためにここにいます。この蒸気を生み出すもの(fusho)の目的はこうです。それはあなたの即位に対する私たちの熱意を示す鍋(chungu=nyungu)です。そのあとで私は食卓を用意いたします。あなたは大いなる草木(muti=mihi)を見ることでしょう。あなたはまさに大いなる草木を見ることになります。私たちは内陸部に行き、インドに行き、あなたのその大いなる草木を見つけてくるのです。
7961,
Mm: では、この鍋を差し上げましょう。私はこの鍋が、できるだけ長く、できるだけ広くあることを望んでいます。二度と争い(vita=viha(戦争))はありません。人の頭のなかにやってきて、皆でやってきて混乱を作り出すことはありません。もう二度と。誰かがやってきたと思えば、互いに言い争いをはじめる。それではだめでしょう。まったくだめなことです。やってきて争いを始めるなんて。でも、やってきた誰もが、お互いに挨拶を交わし、誰もがお互いに「今日、患者がやってくるだろう。その患者はこんな人で、その病気はしかじか、こんな具合だ。だから、患者が来たら、そいつにしかじかこれこれと告げてやると良い」と語りあう。それこそが紳士にふさわしいやり方であり、イスラムの憑依霊にふさわしいやり方であり、ライカ(池や湖に住む憑依霊)にふさわしいやり方なのです。
Mm: しかし今、私は奇妙なことに、失敗しそうなのです。彼女は子供(彼女によって治療され治療上の「子供」と呼ばれる人々のこと)のいる母親です。孫(彼女によって治療され自ら施術師となった者によって、治療された人々)のいる母親でもあり、多くの者たち(承前)の叔母でもあります。彼らはやってくるとそれぞれが、「私はお母さんのところへ行くんだ」と言います。彼らが来てみると、(彼女の)血はすっかり乾いているのです(重い病気になっている)。そして私たちが(その原因を探るために)山に参ります(tukienda vilimani=hwenda piga mburuga(占いを打ちに行く))と、それはカイム(Kaimu=代理人)の子、ペンバ系のジンの王、祝祭の上に座る者ロハニ、お金のうえに座る者ロハニのせいだとはっきり言われるのです。というわけです。そうその通り、今日私たちはこの蒸気を発生させるものをあなたがたに与えるために、この忙しい祝宴を祝おうとしているのです。そして、この蒸気を発生させる鍋の後、私たちはさらに努力します。この鍋にとりかかる今はまだラマダーン前なのですが、鍋の治療は引き続き、ラマダーンの月に入ってしまいます。そしてラマダンの中頃、私はここに戻って来て、根を成分とするもう一つの鍋をお渡しすることになります。それが済めば、良き日々が終わり、(ラマダン明けの)祝祭日が終わるのを待って、戴冠式がとり行われます。
7962
Mm: こちらでは、私たちは物は食べますが、人間は食べません。今日、あなたがたは仕事(kazi)を求めていました。あなたがたが求めているものとは、ええ、それは修復し癒やす技ですね、癒やす者(waganga =aganga 治療師、施術師)であり、大いなる癒やす者(waganguzi=aganga abomu)であるみなさん。(彼女は)今日、この今にも、まだ眠気があり、目は闇に閉ざされ、心臓は早鐘のよう。何者かが全身を這い回っていて、そいつがいったいどこから来るのかどこへいくのかわからない。彼女はそれをただ感じるだけなのです。
Mm: だから今、私は差し出します。差し出す目的をもって。ここに清めの皿(kombe)があります。というわけで、ここで少し話しあいをしましょう。少しではありますが、あなたがたにもっとよく説明、つまり、あなた方がこの鍋を私たちのために受け取るということを、よく説明することになります。(彼女にはすでに)他の多くの者たち(憑依霊たち)、77の雲の眷属のような者たちがいます。彼らは彼らに捧げられた儀礼(sadaka)をすでに受けとっています。彼らの癒やしの術(uganga)はすでに最終段階に達しています。しかし、あなたがたのそれは、あなた方が真夜中にやって来て、(その要求を)差し出したものです。しかし、それは私の父の父から譲り受けたもので、(彼女にとっては)まだなのです。あなたがたが『私が与えたものを使いなさい』と言うから、彼女は使っているのですよ。彼女がそれを使うのは、彼女が見習いではないからです。彼女は専門家(fundi)です。使うのは当然のことなのです。しかし、今、あなたがたは、あなたがたの儀礼(の約束)がまだ満たされていないとおっしゃる。だからあなたがたは請求しているのです。
7963,
Mm: だから(その点で)あなたがたには何も悪いことはない。悪いのは、(彼女の)頭に上って話をし、それが済めば彼女を自由にし、引き続き彼女を健康なままにしておくのではなく、ときに彼女の仕事を封じてしまったり、またときに彼女の血を飲んだりすることです。これはもうだめです。紳士らしい振る舞いでもなければ、憑依霊にふさわしい仕方でもなく、正しい(halali)やり方でもなく、イスラム的(kiislamu)でもありません。そして、イスラム教徒はだれでも、出会うときには、皆兄弟になります。だから落ち着いてください(poleni)。平和と平安のうちに彼女を解(ほど)いてください。内陸部から海岸にいたるまで、もはや争いはありません。どうか御主人の皆さま、悔い改めます(toba yarabi=(maybe(Arabic) taub ya rabbi)。平和と平安のうちに彼女を解いてください。
7964, (「アラビア語」の祈祷風のmakokoteri)
Mm: Nyamasheri idhii wa ianakam wa muhamazu wa bali.Dhini yalashaa muhamadhi, allah akubar minwa ameijab... (omit(Ngoloko seems to have given up transcribing pseudo-Arabic spells))。
(スワヒリ語にスィッチ)
Mm:これはとてもはっきりしています。この時期、この時間に空中にいる者に、私たちは大声で呼ばわります。大声の目的は、わかりあいたいということ、そして私たちが持っているものを、今日その者に渡したいということです。今すぐ詰めてまいります。さらにもう少しあなた方とお話したいのです。儀礼のときが来れば、この…儀礼のときが来れば...
(モネーニ、突然咳き込み、げーげーと嘔吐しそうになる。その後、英語、アラビア語まじりの理解不能な言語(chiryomo)に移行する)
Mm: Lahipa minstadhibin and he did not come alhain and sal kab... (中略。約3分間続く。途中からNgoloko君は書き起こしをあきらめている) ...Zen zen zen!
(再びスワヒリ語に戻る)
Mm: 私たちは大声で呼ばわり、紳士の皆さま、ようこそいらっしゃいと申します。この mvibeti(意味不明)の中で混じり合います。ここに小さな穴があるぞ。後で、この穴。やがてやってくる良き日々に私たちがあなたがたに与える前に。zen!
(チャリ、憑依状態に入り、しきりとため息をつく。1分弱、無言の間。モネーニ、スワヒリ語で彼女に語りかける)
Mm:もし(彼女の)身体のなかにやって来た者が、あなた、カイムの子であるのなら、そう言ってください。いや違う、カイムの子ではなく、ジャバレ導師(maalim jabale=Mwalimu Jabale)だ。もしそうなら「私は王(mfalme)、ジャバレ導師(maalim Jabale)だ」という風におっしゃってください。もしそれがあなた、祝祭の上に座るロハニ(rohani mkalia shangwe)あるいはお金の上に座るロハニ(rohani mkalia fedha)なら、おっしゃってください。「私はお金の上に座るロハニだ」ときっぱりおっしゃってください。あなたはここで何を求めていらっしゃるのですか。何を探していらっしゃるのですか。あなたのmdahre(意味不明)ですか?あなたが探し求めているもの、あなたが必要としていて、ここにないものとは、いったい何ですか。Zen!
(チャリはうめき声をあげるばかりで答えない。長い沈黙ののちにモネーニが再び語りかける。草木(mihi)の詰まった鍋を示しながら。)
Mm: 見てください、しっかりと!これらこそまさに偉大なる導師の草木(muhi)です。あなた、見えないのですか?見えない!これら、偉大なる蛇の草木もあります。これらがわかりますか?見えませんか?え?見えますか?私たちがみんな一緒にいるときに、私たちはそれらを用います。そう。全てを用います。これも、これも。あなたは用いないんですか? Zen!
(チャリ、憑依状態のまま、あたりを見回す。自分が裸足であることに不快感を示しているように見える。理解不能な言語(chiryomo)で語りだす。モネーニ、同じく理解不能な言語で応答する)
C(Chari wa Malau):Mm.. Mm.. wabazieni eni! Aiyaaraka urerenakuku anenezi ku. Uzirakaumu yewafaye airiyerepha rukizikumini ni yebasoziara hayayayayayaya yafakathahiri dhimidhikuthara hamana miyegesahuri thaari irekisamjim iyefa...(Ngoloko君、chiryomoを頑張って書き起こそうとしてくれているが...)
Mm: Thekererua hoberekomesan. C: Mimirithahuru. Mm: Rekengorosam. C: Karakara mana minyo. Mm: Borakaigasen. C: Karahavakairen. Mm: Derakan'o. C: Weikan. Mm: Dero. C: Abekaoruuzinga kaoru konu.
7966,
Mm: Darekianya soruku!! C: He! haikunoriasari ebere kunoongese kakakeriarisi a erererere. Mm: dorekeriasan. C: Eeeeelaka. Mm: dokongesenge. Tara kaanga segi angata dokongome. Andakaengeza azaz...
(Ngoloko remarks "conversation continues like that")
Mm: Lazagakaingutianga. Rudikingi dada ya ikangasa ke keongodo kanga lyendeandaza kaiku didiadara kangara babiru kukosa gata. C: Ndekobere. Mm: Ndiedede kiangaza. C: Ndekobere. Mm: Adadaru? C: Ura. Mm: Arakam. C: Mirukutha. Mm: Dereki? C: Mwiri kamatha. Mm: Utosoni! Barakathu usonikamu utekerandu. C: Barakatha. Mm: Dara nduku. C: Nduku bera.
7967, (こんなデタラメ言葉の会話がその後しばらく続くが、Ngoloko君はさすがに書き起こしをやめている。やがてモネーニはギリアマ語にスィッチする)
Mm: 私はあなたを招待していたんですよ。 C: そうかい。 Mm: 私はあなたを鍋にお呼びしました。鍋にお呼びした後に、私はこの場であなたにお約束をいたします。その約束ですが、今わたしたちの出身地では、わたしたちは聖なる月に入りますね。さて、この聖なる一ヶ月が終わったら、さあ、私たちは良い日取りを検討しましょう。事がうまくいくだろうような良い日を。良さげな、土曜日みたいな日を。そして私たちはたくさんの人を呼びましょう。ダハロ人も、ボニ人も、さらに誰?あのンギンドゥ人も、あのコロンゴ人も、誰もかも、やって来て心ゆくまで踊ってもらいましょう。そしてその後、その日に(治療術の)授与式をとりおこないましょう。さらに、家を建ててあるのですが、この日はまさに、私たちがその家を差し出す日でもあるのです。 つぎに、キガンゴ(祖霊k'omaの杭)のあと、といっても、こうしたさまざまな物は稼ぎ手次第ですので...。 私たちは場所を用意するだけです。もし人を、あそこの川のようなところに連れていけるのなら。そうですとも!私たちがやってくるとすれば、それは彼らとともにやってまいります。ここには、その人もやってくる。でも私たちは彼(が来ると)予期しているのです。彼は言います。「私はここでは客人(異邦人)です。だから私は力を乞うています。」そこで私たちは彼をそこに連れて行く。これこそ私たちが意図していたやり方です。でも、まんいち彼が(約束が)だらだら遅らされているなどと思ったりしたら、それは全く良くないことです。全然だめです。それは余裕(お金の)がないせいなのです。手に入るあらゆる金は(例えば店でトウモロコシ粉を買うのに使われてしまう)。このあたりではもう二度と作物は手に入らない。不作なのです。人々は植え付けをするのですが、トウモロコシはガンダ(地名)のトウモロコシみたいで、丈がこのあたり(手で60cmほどを示しながら)までなのに穂をつけてしまう。ちょうどあのカトゥングァ(カヤンバの有名な歌い手)が歌っているようにね。もう豊作は二度とないのです。そこで、これはまだ計画にすぎません。実りがないのを見て、あなたは自分が軽んじられていると思いますか?軽んじてはいません。軽んじてはいません。
7968,
Mm: 物、物、物!物には稼ぎ手が必要!お金が入ってくるのを目にしないというわけではありません。目にしますとも。でもはいってくるとしても、食べることにすべて消えてしまう。困窮しているのです。この大雨季のことではありません。それが始まったのはずっと以前からです。私たちのところで最後にちゃんと作物ができたのはいつのことだったでしょう。私たちの土地ドゥルマで、この小さな近隣から海岸にいたるまで、どこで収穫があったというのですか? C: そんなこと知らないよ。 Mm: ええ? C: そんなこと知るもんか。 Mm: 知らないとは! C: そう、私は...あぁ くそっ!...私は食われている。 Mm: あなたが食われているって? C: 食われている。 Mm: では、今この時間に、人間を食べる者のことを話してくださいよ。あなたがもっている言葉(問題)で、あなたはここ、ハラムの場所では外に出したくない言葉に、人々みんなが耳を傾けます。子供の父親(患者の女性の施術上の父を指す)もここにいます。私たちには客人もいます。彼もここにいます。あなたがたは敬意をはらわれています。皆がここにいて、語り合い、お互いに理解し合うことができるのは、あなたがた友がいるからなのです。たしかにあなた方は神から能力を与えられている。ここにいる私たちときては、惨めなものです。私たちには知っていることがなにもありません。あなた方こそが、あなた方がやって来たところに由来する情報を手にしている方々にほかならないのです。
7969,
Mm: あなたがたが「かくかくのことが起こるだろう。しかじかのことが起こるだろう」とおっしゃる。私たちはあなたがたの足跡をたどります。そしてなんと本当のことだと知ることになります。あなたがたが「さあ今度の季節は頑張るがよい。あと二週間で雨が降るであろう」とおっしゃる。そして本当に雨が降る!「さあ、がんばるがよい。今、これこれのことをするべし...
(チャリはモネーニの発言を遮り、突然、奇妙な訛のあるドゥルマ語で話し始める。以下、訛ドゥルマ語でのやり取りとなる)
C: じゃあ、しゃべろうかね。私はドゥルマ語はしゃべらないし、ギリアマ語もしゃべらない。言うことはこうだ。 Mm: はい、どうぞ。 C: お前は私を呼んだと言ったが、我が友よ、いったい、なんのために呼んだんだい?私はドゥルマ語は喋れないぞ。 Mm: 私はあなたを呼びました。この鍋を受け取ってくださるようにと呼びました。 C: いったい誰の鍋なんだい? Mm: この鍋には持ち主がいます。筆頭はペンバ人系の導師ですが、イスラム教徒の兵士たちも一緒に混じっています。マサイ系の内陸部のジン(jine bara wa chimasai)やライオンのジン(jine tsimba)のような。彼らは兵士で、私たちは仕事上彼らと一緒になります。
7970,
Mm: スディアーニとも一緒、ご一緒することになります。これが最初の鍋です。私はもう一度戻ってまいり、根の(根を主として詰めた)鍋を設置します。それが済むと、わたしたちが次にとりかかるのは、なんでしょう。日時を定めること、(太鼓やカヤンバを打ち、大地を足で踏み鳴らす踊りの)地響きの日時を探すことです。これが私を当地にもたらす次の旅になります。で、今その話をしているわけです。 C: (怒った調子で)なぁ、なぁ、な、な、な、なぁ、私の持ち物はいったいどこだ? Mm: どんなもののこと?どれのこと?あなたの物なのにここに見当たらないあなたの持ち物というのは? C: (聞き取れないささやき声) Mm: え?どの持ち物のことかおっしゃってください。あなたが…。 C: なぁ、私は最初に... Mm: どの持ち物ですか。この布はあなたのものではないと?この布?さあ、何事もゆっくりとですよ。なにごともゆっくりと。ここのところ(ウガンガの)仕事は低調です。あなた、お金を少しばかり使えるかとおもったら、ごらんのとおり、あなたのためには使われない。 C: 私は仕事は解(ほど)いてやったぞ。それなりの期間。 Mm: そのとおりです、そのとおりです、仕事は... C: もう仕事を封印してやろうか、今すぐ。 Mm: いやいや、仕事を封印しないでください、仕事を封印しないでください。
7971,
C: この仕事はしばらくの期間、解(ほど)いてやった。もう封印してしまおうか? Mm: ああ、仕事は封印しないで。封印しないで。仕事はそのまま続けさせてください。ここのところ飢饉が定着してしまったとはいえ、することが望ましいことは一つ一つ、私たちは調え(憑依霊たちの要求に応え)、処置することになります。「ここだ、ここだ」(の緊急の事態)を目にするからです。たくさんの子供を作った者(多く治療上の子ども(=患者、信奉者)をもつ施術師)は。というのも、ここにも子どもたちがいます。キナンゴの町にもいます。キナンゴのさらに先にも子どもたちがいます。さらにあちら、彼女の出身地にだって、彼女はたくさんの子どもを残している。そうでしょう!ほんとうにたくさんの子供のいる人なのです。なのに今、あなた方はこんなふうに彼女を家から出られなくしている。彼女の子供が、「お母さんのところに行って、お母さんに、えー、たとえば『池 ziya』を処置してもらいましょう」と言ってくるかもしれない。なのに着いてみれば、お母さんは病気で床についている。これじゃあ、だめでしょう。そう、これじゃあ、だめなのです。寝る時間なら、家の中で寝れば良い、でも目が覚めたら外に出る!家の中で寝て、目が覚めたら外に出る。仕事をいっぱいする!耕作もいっぱいする!なぜならあなた方は本来、耕作好きなんですから。こんなふうに、いっぱい耕作する! C: 仕事はしばらくの間、したぞ。 Mm: そんなふうに、(他の憑依霊たちと)一緒にですね。でも今は。すでに申し上げたとおり、わたしどもの地域では、もうまるでショックを受けたみたいなものです。何年にもわたって収穫がないのです。雨がどんどん降っているのは見ます。私どもの地域で人々は「雨はキナンゴだ」という。でもこちら(Ngelenge地域、キナンゴと数キロの距離)に着くと、「雨は先に行った」と言われるのです。降らずに通り過ぎていったと。 C: (チャリ、突然スワヒリ語にスィッチ。以下スワヒリ語でのやり取りが続く。)で、お前たちはその仕事を私に差し出すのかい?今、これからその仕事を差し出すのかい?
7972,
Mm: いいえ!今、私たちが差し出すのは煙をだすもの(fusho=mafufuto)です。この煙を出すもので終わりにはいたしません。私は(別の)煙をだすものを設置するために戻ってきます。その後で、もう一度あなたがたにこの(癒やしの)仕事を差し上げるために参ります。仕事ですよ。私たちは(太鼓と踊りの)地響きとともに差し上げるのですから!そう、今私たちはあなたがたに提案しました。あなたがたは仕事を、一時的に与えられました。そしてあなた方はそれを解いて、継続させてくださいました。だから、私たちはお願いします。仕事がそのまま普通どおりに継続するようにと。それを休眠させないでください。仕事がそのまま普通どおりに継続するように。この仕事が普通通りに継続するように。なぜならあなたがた自身が人(患者)を連れてきてくれるからです。あなたがた自身がすべての方角から。世界の4つの隅から。あなたがた自身が彼らをもたらしてくれるのです。だから仕事を封印しないでください。なぜなら私たちがいるここ、この地では、あなたがたがお入りになると、大忙しになります。だから、もしあなた方が仕事を封印してしまうと、それは私たちを驚かせることになるでしょう。あなた方は私たちを途方に暮れさせるでしょう!そうですとも。もしあなたがたが仕事を封じたりすると、私たちを驚かせるのです。今私が欲しているのは... C: お前は仕事がほしいのか? Mm: 私たちは仕事がほしいのです、私たちは。 C: お前は仕事がほしいのか? Mm: 私たちは仕事がほしいのです、私たちは。 C: 仕事なら続いているじゃないか。違うか? Mm: 仕事は続いています。でも停まってしまう日もあるのです。そして私たちが調べたところ、他ならぬあなたがた(のせい)だという結果をえる。おそらく、あなたがたが「我々はかつて仕事を解いてやったのに、今、どうやら私たちは無視されているように思う」とおっしゃっているのだろうと。それは無視ではないのです、旦那様。無視じゃない、無視じゃない。何事もゆっくりするしかない。何事にも時間がかかるのです。私たちがときにあなた方は大勢だと歌っているように、あなたがたは実際に大勢なのです。各人について、私たちがそれぞれの約束を果たそうということになると、難しいのです。こんなふうに、一人、一人、果たしていくしかないのです。
7973,
C: 仕事がほしいと言っている連中は多い、だが,... Mm: そうです。 C: お前たちは奴らには敵わないだろう。 Mm: どうしてですか。いったいなぜ?たとえば誰と誰ですか? C: 他の奴のことは知らないよ。 Mm: あなたは知ってますよ。だってあなた方は旅するのもいっしょ、そして帰りも、違いますか?旅から戻るときも、山々から出るときも、あなたがたは皆12個の低湿地までくだり、皆そろって12の洞窟まで行く。だからあなたは彼らの秘密をご存知だ。あなたがたは12の海に入っていく。そうでしょ。(淡水)水方面のかたがたも。海方面のかたがたに池方面のかたがた。あなたがたは皆、ご一緒なんでしょう?だからあなたは私に説明できてもいいはず。私たちは兄弟みたいなもの。こんなふうにお会いすると、兄弟です。だから互いに理解し合いましょう。「誰それさんと、誰それさんは、(お前たちに対して、履行を請求できる)貸しがあるぞ」と。どうです?さあ、もし... C: 教えてやりたいところだが、食べ物がない。私たちは腹がへっているんだ。なんの食事もない。教えてやることはできない。 Mm: さて、食べ物といっても、(ここにいるのは)私どもだけ...今、あなたがたに食べ物がもらえるように準備いたします。ここにある食べ物は、小さいですが、とっておきの一品です。 (Murinaに向かって)あのもう一つのカップはどこにある?
7974,
Mm: (再びChariに向かって)トハラ(清浄さ)だけの皿(kombe la tohara)の小さい一品にすぎません。この一品は蜂蜜を混ぜるのが普通ですが、今日は蜂蜜はありません。しかし良き日々が来たれば、あなたがたはおいでになって心ゆくまでお食べになるでしょう。 C: さてさて当分は待てと。まず待てと。手に入れて、それから仕事をするものじゃないかい?ただ座って待っていろとでも? Mm: 数える日数なら、多くはないと言うではないですか。もう私たちは数え始めています!以前は、まだ日数を数えるところまでいってませんでした。でも今や(正式の日取りを決める)その日になりました。今や私たちは数えているのです!数える日数は多くないってギリアマ人は言うじゃないですか!そのとおりです!
(mugangaはChariにカップに注いだマラシ(marashi=ローズウォーター)を与える)
C: これはなんだ? Mm: これが小さい一品です。これが小さい一品です。ちょっと味わってみてください。これが小さい一品です。 C: 私は仕事は随分前に始めたのに...(聞き取れない) Mm: そうです。そのとおりです。しばらくたちました。でもいよいよ手に入れる時(chikomo)がやって来ました。 C: この仕事、この仕事、...この仕事、...仕事、始めてかなりたつ。 Mm: しばらくになります。
7975,
C: 仕事は始めてしばらくになる。私たちは稼いだ。私たちは稼げと言われた。私たちは稼いで、ありとあらゆるものを買うまでになった。なのに私たちは何一つまだ受け取っていない。私たちは、手に入れるだろうと言われた、何だったっけ?でも私たちの「馬」もない。見えない。 Mm: はいはい、どうぞこの一品を少し。 (Murinaに向かって、ドゥルマ語で)ところで叔父(aphu=MB)さん、彼が今言ったこと、説明したことは、私たちが必死に取り組んでいる問題ですよね。無視の問題は、叔父さん、彼が言うことには過去に始まっている。あなたがたは、仕事がしばしば停止してしまい、また解かれるというのを、ご覧になってきた。今、彼が言ったことで、説明がつきます。彼が言うには、稼ぎ(tsumo=富を増やすこと)は過去に始まったが、でも(霊に対して行ってきた)約束は放置されてきた。あなたもそれが本当だとご存知でしょう。ときに(霊を)無視(ないがしろに)しているがごとき事態(utu=モノ、コト)が歴然として、これもたしかにそうだとおわかりでしょう。こうした事態にあなたは狭い道を通り抜ける(ごまかして切り抜ける)、でもその道は正しい道じゃないんです。もしこうおっしゃろうとしているのなら...。いや、あなたは(彼らに)目を凝らして観察されているんですよ。しばしば私たちはちょっとしたことをやってみる。そして脇に立って眺める。結局、仕事はしばしば停止する。だって...いわば、いろいろ計画はするが、間違っている。結局うまくいかない! Mc(Murina wa Chimera): いちばん大事な問題は(霊が要求していた)家なんだよ。家。食事をする者は、太陽の下で食べるものだろうか。 Mm: 家で食べます。 Mc: そうだろう?
7976,
Mm: 家で食べます。家で食べていたとすれば、たとえ外で食べたとしても、家に入らないことがあるでしょうか。 Mc: 私たちはすでに(憑依霊のための)家を建てていたんだが、その土地から追い出されてしまった。私たちは住む別の場所を探し、ここにやって来た。(自分たちの)家を建て、努力してこの(霊のための)家も完成した。さて、この先何が残っている?後は食べるだけじゃないかい? Mm: ほう! Mc: だから彼らに仕事を解かせよう。食事なら、彼らは食べることになるさ。それだけのこと。食べ物のことなら、それを揃えるのは問題じゃない。私が望んでいるのは、彼らが解いてくれることだけ。家について言えば、それはもう出来上がりだ。後は飾りだけ。 (Chariに向かってドゥルマ語で)あなたの主食を食べてください。やって来て、あなたの(特別な)食べ物もお食べなさい。私はあなたがたと争うつもりはありません。私に必要なのは、仕事とつつがなきこと(uzima)。出血はもうおしまいにしてください。人は普通、こんな状態のままでいたりはしません。また、自分は不当に扱われたとおっしゃる方!履行を促す者(債権者)は、もめ事を起こして催促したりしないものです。もめごととはなんでしょう?人を苦しめることです。それでいいとでも?はい、私は自分の過ちを認めます。でも私はそれを放置したりしてません。私はちゃんとやりました。約束の日時はこれです。まんなかの10日間の二日目(mwezi phiri kumi ra kahi)。ンゴマ(霊のための徹夜のダンス)です。そして(約束していた)あらゆる物は、この日に手に入ります。履物を約束されていた方も、素敵な布を約束されていた方も、その方々の物になるものはすべてその場にあるでしょう。裸で食べる方はいません。それとも、こんなふうに語ること自体が過ちでしょうか。でも、お米飯を与えられるときに、裸のままで与えられる人がいましょうか。履物にしても、私はあなたに買って差し上げるでしょう。ひだのついたスカートでしたら、あなたはそれも受け取るでしょう。(寝る際に)身体全体を包み隠す布を、というのならそれもあなたは受け取るでしょう。
7977,
Mm: ところでその布にも、それに伴う別の布がありますが、思うにそちらの布は今は手に入らないですね。あのツルツルする布、蛇みたいにツルツルする、あの。 Mc: 絹(hariri)かい? Mm: 今はないと思います。 Mc: あれはもう手に入らないね。 Mm: 私の母(mesomo=母の僚妻、一夫多妻婚における実母とは別の父の妻)が2枚も手に入れたことがあったのですが。しかもなんとマリアカーニでですよ。 Mc: あのツルツルする絹の布、思いがけずに偶然見つけるという以外に、今まで一度も見たことがないよ。 Mm: 本当にツルツルそのもの。蛇そのもの。母(mesomo)は2枚も手に入れた。私もびっくりしましたよ。 Mc: じゃあ、こんな風に話し合ってくれよ。まんなかの10日間の二日目、さあ、ここが宴の場になります。大仕事です。私のことを泥棒だとおっしゃる私のことを知っているお方に知っていただきたい。私はあなたがたを騙してなどいない。私は住む場所を求めていたのです。ほら、(あなたがたの)家はこれです。私はすでに建てています!
(カセットテープ交換)
7978,
Mm: (ドゥルマ語で)....だから、落ち着いてください。そして解いてください。内陸部の方々も、海岸部の方々も、低湿地の方々も、北の方々も、西の方々も、南の方々も、東の方々も。私どもはどうか穏やかに、そして彼女を解いてくださいと申します。もう争いはございません。
(Chari、沈静化する)
C:(大きなため息)ホーフィ、ホイイ。 Mm: 穏やかに、穏やかに、あなた、神(mwanamulungu)よ、キツィンバカジ(mwana chitsimbakazi)よ、フィリウィリ(mwana filiwili)よ、キディディマド(mwana chididimado)よ、池に住まう偉大な者よ。私は掌を置きます。掌は、御主人様、悔い改め(toba yarabi=(maybe(Arabic) taub ya rabbi)です。祖霊(k'oma)への祈りも神(mulungu)へのもの。あなたがたをお出迎えいたします。今日、今、私は、穏やかに、そして落ち着いてくださいと申します。解いてください、解いてください。あなた(霊の)ダハロ人(Mudahalo)よ、ボニ人(muboni)よ、今私は、穏やかに、落ち着いてくださいと申します。あなたジグラ人(muzigula)よ、あなたはサンバラ人(musambala)と一緒に昔にやって来た霊です。あなたはピグミー(mbilichimo)とともにいる。あなたは仕事をしたが、それはうまくいかなかったと見える。今、私は、静まってくださいと申します。落ち着いてください、そして彼女を解いてください。何事も、稼ぎ手と品々がなければ。そうすれば人は腰をおろします。品物(mwiyo)こそ人を引き寄せるもの(mwiho)なのです。今現在私たちは、(憑依霊のために)その人(憑依霊)がまだ手に入れていない品物を手に入れようと引き続き計画しています。なぜなら、神(mulungu)や他の人々(憑依霊)も、昔はまだ彼らの瓢箪を手に入れていませんでした。でも今や多くの者が手に入れました。ドゥルマ人ですら自分の瓢箪を手に入れています。ですから、私たちはあなたがたに、解いてくださいと申しているのです。もう争いはございません。解いてください、頭も解いてください、脚も解いてください。平和と平安のうちに。もう争いはございません。 C: ホゥフィー
7979,
Mm: 私たちはこれらの小さい「馬」を差し出しました。あなたがたがここ、身体にやってこられるなら、夜明け前においでになり、やってくるだろう病人たちについての情報を差し出してください。しかしながら、もしある期間にわたってお住みになるなら、もしこちらにそんな風にお住みになりたいなら、住処はまだご用意できておりません。「馬」をお差し出ししましたので、それらの「馬」のうえにご滞在ください。「馬」たちは小屋の裏手を自由に歩き回ります。それらを人が用いる(たとえば客人がきたときの食事として、など)ことはございません。
(Chariはしきりと吐き気を催し、嘔吐いている。再びyugolomokpwaの気配)
Mm: でも、平和と平安のうちに解いてください。解いてください。まずはじめに、あなたライオンのジン(jine tsimba)。そしてマサイのジン(jine bara wa chimasai)よ。あなたは、仕事をなさいます。しかし今、槍、そして首を捻じ曲げる。これは大問題です。ときにここ(肺)から、そしてまたここ(胃)からも出血。私たちはただただ驚くばかり。私たちは、お詫びをいたします。専門家の仕方(chifundi)でお詫びいたします。癒やしの仕方(chiganga)でお詫びいたします。伝統にのっとって(chimila)お詫びいたします。落ち着いてください、そして平和と平安のうちに解いてください。穏やかに、世界の住人の皆さま(arumwengu)。あなたがたの何人かの方の名前を口にいたしました。他の方々についてはその名を出しておりませんが、(すべての皆さま)平和と平安のうちに解いてください。
(Chari咳き込み、あたりをにやにやしながら見回す)
7980, (Moneni、笑い出しながら)
Mm: ドゥルマ人さん!呪杖(muroi)をもつ人、あなたでしたか。ああ!傲慢さのないドゥルマ人はドゥルマ人じゃない(という諺があるように)、どのドゥルマ人も傲慢ですね、あんた(Baye!=あんた、を頻繁に挟むドゥルマ人の話しぶりを誇張して模倣している)!私は、あんた、今びっくりしてますよ。物事なにもかも、へんてこりんですよ、あんた。私ですらここでのことには、もう負けちゃいそうですよ、ここドゥルマの地ときたら。あんた、搗き臼で搗くのはいいとして。その後が変ですよ、あんた。ここではウガリ(wari=とうもろこしの粉を熱湯で捏ねた人々の主食)を、金属板の上によそうってんですから。そして地面に置いて、手で握って食べるなんて。ここには、御椀はないのかい。私は、こういったことがとても敵わないんですよ。完全に負けちゃいますよ、あんた。私、Ndoroはもう、一体どうしたらいいのやら。
(Chari、大きく伸びをしながら)
C: ほら、嗅ぎタバコおくれよ、あんた。 Mm:(私に)懐中電灯、点けてくれるかい。嗅ぎタバコを探したい。足元を照らしてちょうだい。嗅ぎタバコ、嗅ぎタバコ。
(Chari、大げさにため息を繰り返す)
C: ホウフィ、ホウフィ。 Mm: 叔父さん、叔父さん、おーい。嗅ぎタバコはどこ? Mc: 嗅ぎタバコ、さっきあんたたちに渡さなかったっけ?
(Chari、嗅ぎタバコを渡される。手のひらにとって盛大に吸い込む。再び大きくため息)
C: ホウフィ。なあ、わしゃ、もう帰るよ。 Mm: あんた、仲間たちに挨拶しに来たばかりじゃないんかい? C: なあ、一体全体、ここでそもそも話ができるのかな? Mm: ええ、できますとも。できないと感じるのですか?ほら、これら(muranzeの根を示しながら。muranzeの香りを憑依霊ドゥルマ人は好むとされている)はあなたがたの山の木ですよ、なあ。あなたがたの山の木があれば、お話もできるんじゃないですか。大雨季が来れば...
7981,
C: おい、あんた、お前! Mw(笑いながら): ドゥルマ人は放牧する。放牧する。人の言うことに耳を貸さない。無視。なあ、あんた。で、ここじゃ話もできないなどとおっしゃる。話もできないって、なんでだよ?みんな話してるじゃないか。 C: おい、あんた、お前、お前、あんた、お前、なぁ… Mw(なおも笑いながら): なぁ、ここで話ができるか?なんてね。放牧する人の語り草がこれだ。なごやかな談話がこんな風に進んで、言葉はつっかえつっかえ、それでいてコソコソ(秘密めかして)。 C: (久しぶりに会った相手との定型挨拶開始)ではでは、おひさしぶり、ごきげんいかが?(字義通りには「あなたがたは何をお話をなさいますか?」) Mm: 何事もございません。あなたは? C: 何事もございません。 Mm: それはけっこう。ああ!この人、いったい何者だよ。 C: ああ!なぁ、だってあんた突然登場して、あんた、なんだか変な臭いのものをもってくるもんだから、なぁ、こっちはびびってたってわけさ、あんた。 Mm: ああ、こっちはビビってなんかいないよ、あんた。ほら、(あんたの好きな)山の木だよ...、 C: ああ、お前、お前の方がやって来たんじゃないか、あんた。わしの方がお前に尋ねたいのに、お前が先に尋ねてる。お前こそいったい何者だよ。だってこんなに臭いんじゃあ、この屋敷で眠ることもできない。
(Moneni、爆笑する)
7982,
C: なあ、お前、妖術をかけられると思っているんじゃないかい? Mm: (笑いながら)ええ、そうなんです。このあたりには太った長老たちがいます。太った太った長老たちがいます、この辺には。 C: (ため息)ホウフィ。ああ、なあ、あんた、お前には問題があるよ。 Mm: 太った太った長老たちがいます。 C: お前、本当に臭いぞ。 Mm: (なお笑いながら)ここ、あなたがたの土地には太った太った長老たちがいます。 C: (全員に向かって)さて、さてさて、わが友たちよ、おひさしぶり、ごきげんいかが? 全員: いいえ、何事もございません。あなたはいかがですか? C: 何事もございません。 全員: それはけっこう。 Mc: さて、あなたはおいでになった、あんた。で、ここには住めたものじゃないとおっしゃる。 C: そうともあんた、ここ、臭いったら、なんともかんとも、気分がわるいぞ、まったくまったく。 Mc: 気分がそんなに悪い? C: ああ!なあ、このあたり臭うんじゃが、このあたり。 Mc: ここが?! C: ああ、友よ!なあ、あんたぁ!!わしは躊躇なく逃げ出すぞ。
7983,
Mm: ああ、あんた、逃げ出さないでください。今挨拶し合ったばかりじゃないですか。 C: お前、あんた、わしに流行り風邪を注ぎ込んだな。 Mm: めっそうもない。尋ねあっただけじゃないですか、あんた、だって… Mc: ほら嗅ぎタバコだよ。これを嗅ぎなさいな。この土地独自の嗅ぎタバコだよ。
(Murina、muranzeの粉末を手渡す)
Mm: 尋ね合うことは... C: ああ、もう嗅いだよ。西洋の粉をたっぷりいただいたよ。 Mc: ああ、私たちのやつを嗅いでくださいよ。これはガツンときますよ。 Mm: これこそあの人々がもっているやつですよ。 Mc: そのとおり。この私たちのやつを嗅ぎなさいな。
(Chari、muranzeの粉末を吸い込み、咳き込む)
Mc: そら、ごらん。流行り風邪も追い出してしまえよ。
(Chari、鼻をかむ)
Mc: そうそう。さあ、もう一回嗅いでごらん。めまいもどこかへいっちゃうよ。 C: ああ、なんと、本当だ。 Mc: ええ、そうだろう、あんた。 C: ああ、さて、わしがこのあたりを見てやろう。ありゃ、わあ、こいつには問題があるぞ、あんた。 Mc: 彼に問題がある?彼にはなんの問題もない。あいつら、あのイスラム教徒の(憑依霊の)連中が騒ぎを引き起こしていたんだよ、あんた。
7984,
C: ああ、うう、ああ。じゃあ、さて、来たばかりだけど、もうわしは帰ろうかね、あんた。 Mm: いやいや。あんた、何かをしに来たんでは...? C: いや、まあ、わしはやって来ただけさ。何事か、見ようとね。ビリビリ(phiriphiri 悪臭の擬音語)臭いがしたもんだからね。ああ!とても住めたもんじゃない感じ。ちょっと行って見てやろうと。ああ、とても住めたもんじゃない、この屋敷は。わあ!屋敷に凶々しいものが持ち込まれたよ、あんた。とても住んでおられない。さてさて、なんとなんと、こういうことだったのかい。こりゃ、わしにはどうしようもないよ。 Mm: さてさて、あんた。私たちはあなたに知ってもらおうとしていただけです。なぜ... C: わしにこの有り様を知らせたかったと? Mm: ああ、違います。私たちは、あなたに仲間がいると知ってもらいたいのです。彼らも、あなたと同じく癒やす者(aganga)なのです。癒やす者はいたるところで出会います。あるものは瓢箪の施術(ungaga wa ndonga)を知っています。あるものは妖術反転の技(wa kuphendula)を知っています。あるものはニューニ(nyuni)の施術を知っています。別のものは本をもちいた施術(wa chitabu)を知っています。そのいずれもが癒やす者(施術師 aganga)と呼ばれます。それとも、別の名前があるでしょうか?全員が単に癒やす者(aganga)ではないでしょうか。 C: でもあいつらは素敵な家を建ててもらっとるぞ。 Mm: はい。(Moneni、笑い出す)はい、建ててもらってます... C: 素敵な家を建ててもらっとるぞ、あんた。でもそいつがわしに目眩を引き起こす。 Mm: それが(笑いによる中断)、それが目眩を引き起こす、それが?
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C: そう。おそらくね(nikutuma)、彼女は畑仕事もできなくなるよ、あんた。(弱って)風に煽られただけで、ひらひらとその場に倒れる。(憑依霊のなかには)死の問題をよく知ってるやつがいる(zikiri maitiのように)。 Mm: ああ、ああ!そんな風に殺さないでくれよ。 C: じゃあ、わしらの問題はどうなるんだい。どんな風にやるんだい。 Mm: ああ、それはね... Mc: そのことだったら、そいつの家も建ててやるよ。 Mm: ドゥルマ人の家も建てることになりますよ。とりあえず置いておいただけ。シロアリが今にも入り込みそうだったから。それでそこに置いているのです。 C: (隅にある瓢箪を指しながら)なあ、それは瓢箪(maburu=牛乳や水、油などを入れて持ち運ぶ瓢箪、ディゴ語)かい、それは? Mm: 昔むかしの女性は、それもって嫁いだもんです(かつては女性は嫁ぐ際に酒の入った瓢箪kadzamaを持っていかねばならなかった)。 C: OK、ところであんた、わしはここにずっといるつもりはないよ。馬鹿みたいじゃないか。 Mm:(笑いながら)ええ?ここにずっといるつもりはない? C: ああ、わしは役立たずじゃなかったぞ。 Mm: あんたはここに居続けることになります。 C: ええ?呼ばれたのはわしじゃないぞ。だろ?わしに、ここであの腐った連中(madude ga kola)と一緒にいろと? Mm: そんな、少しの間だけですよ。少しの間。 C: ああ、あの役立たずどもに話してやればいいさ。私は役立たずじゃないからな。
7986,
Mm: そうですとも。一時的です、あんた。あなたのために私たちが手を煩わせる時期があります。でもまず私たちに見習いを手に入れさせてくださいよ。二~三人。そうしたら私たちはあなたのところで、あなたに対して語ることを始めさせていただくでしょう。でも今さしあたっては、そのために努力する期間です、あんた。 C: なぁ、あの腐った連中はすぐにも、いまにもモノを与えられようとしてるぞ!奴ら、このくさいい臭いを感じているぞ。もう。 Mm:(笑いながら)あんたの仲間を腐った奴らなんて言うんですね、あんた。 C: 腐ったろくでなしだろ、お前、あんた。あいつら畑仕事も何も知らないし。知っているのは白、白、白(wewewe=白々した様を表す擬音語)。 Mm: なあ...(笑いながら)あなたは、怒りっぽい(asiru 獰猛な)人々を相手にしているんですよ。 C: おまけに、あいつらンゴマ(太鼓)も嫌いだろ。(カヤンバの)カシャカシャカシャ(同じくwewewe)だけでおしまい。すべて終了。ああ、あんた! Mm: それでは、さてさて私はお礼をいたします。 C: なぁ?結局わしはなにか手に入れたか、あんた? Mm: あなたが?あんた、あんた、あんた(同じく we we we)まだ全然、分け前を受け取ってないのですか、あんた? C: なんの分け前だい?なぁ、その分け前とやらは、ここ、この場でされるべきだろう。この場で。わしがこの屋敷にいないとでも。 Mm: ああ!あなたのまさしくドゥルマ風の家のこと... C: そう言ったじゃろうが。 Mm: ああ。あなたの家なら、差し上げますよ。 C: ずっと待てと?
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Mm: 手に入りますって。 C: 手に入る? Mm: 手に入りますよ、あんた。 C: でも、あいつら獰猛な連中は先に建ててもらえるってわけだ、あいつらが。 Mc: あなたのも、私が建ててあげますよ、あんた。たまたま... C: あの、杖や槍をもった連中、あいつらが尊重される(anaogophewa=恐れられる、尊重される)ってわけだな、あんた。 Mm: ああ、ちがいます。私たちはあなたも尊重してますってば。あなたは山の長老。持っているのは... C: そうそう、お前。私は矢筒と弓を持つ男。お前ら、もう慣れっこに... Mm: そして弓。さらに斧も持ってますよね、あんた。ほらどうです! C: 防御もされている。たとえお前が弓で射かけてきても、矢尻もひん曲がるぞ!(胸を張って威張って見せる) Mc: おまけにあなたはムハソ(muhaso 妖術をかけるための薬)ももっている。どうしてあなたが尊重されていない(恐れられていない)なんてことがあるでしょうか? C: ああ、でもわしは呪文(ko kuruma)をわすれてしまったわい、あんた。わしが成人(mutu muzima)だったときは... Mc: さあさあ、あなたの家は建ててもらえますよ。だって、その気になればあなたは人々を呪う(kuloga=bewitch)こともできる。 C: ああ、呪うってことなら、もし私が呪うなら、お前のそれを願いさえすれば良い。お前はもう死んでいるぞ、あんた。 Mc: ほらごらんなさい。私たちはそれは望みません。私たちの仕事は、あなたに家を建てて差し上げることです。 C: ちがうね。家は建てるだろうさ。でもお前、弓は? Mc: 違います。私はあなたに弓も用意しますよ。 C: もし家を建てなかったなら、わしはお前を弓で射てやる、タ、タ、タ、タ。
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Mc: もし私を弓で射たら、いったい誰が家を建てることになるでしょう? C: わしがお前を射たら、お前は即死さ。 Mc: で、そのあと、あなたは誰に家を建ててもらえるでしょう。 Mm: いったい、あなたは誰に家を建ててもらいますか? C: そうなりゃ、わしらはあのイスラム教徒の連中といっしょにここで暮らすさ。 Mc: なんと! C: そうさ。連日、わしは臭い代物を浴びせられ続けるのさ。 Mc: ええ?あなたがここであのイスラム教徒たちと一緒にくらせば、あなたはイスラム教徒たちに追い出されることになりますよ。 C: はぁ、あいつら、そうかい、お前はあいつらが好きなんだな、あんた。でもな。お前に言っておくがな。そんな風に、お前があいつらが好きだというなら、ええ、わしは封じてしまうぞ。そうなったらお前もわかるだろうよ。 Mc: いやいやいや。封じないでくださいよ。私は、私の仕事はね... Mm: だめ、だめ、封じないでください。 C: わしはここをすっかり闇に閉ざしてしまうこともできるぞ。すっかり、すっかり。誰もがこの屋敷は死んでしまったと言うまでに。 Mc: ああ、私たちの仕事は、私たちの仕事は、理解し合うことです。 C: お前、このわしが腐ったろくでなしどもに馬鹿にされると思っているんだろう、あんた。 Mm: いいえ、わたしたちは、あんた、知っていますから... C: ビリビリ(Biri biri=火が燃え盛るさまの擬音語)じゃ、そうすりゃ...。わしは射まくることもできるぞ。あいつら全員いなくなる。 Mm: あぁ! Mc: 私たちの仕事は、仲良くし合うことですよ。
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C: もし奴らを射れないのなら、奴らに妖術をかけるだけ、みないなくなる。ここには人っ子一人いなくなる。 Mm: だめです。彼らに妖術をかけないでください。 C: そもそも、こいつ(Murina)は、たくさんの奴ら(Chariに憑いている憑依霊たち)に要求を突きつけられている。でもそいつらは、結局ろくに仕事をしない。 Mm: そんなことは。 C: そいつらはあの野郎、なんて言ったけか、あの野郎を頼りきっている。なんて言ったけか。ペンバ人(憑依霊)だっけ?怒りっぽいやつ、でもあいつ、(わしと比べて)大したことはできない、あんた。そいつはあんたらにたかりまくるだけで、ナイフを手にするりと抜け出して、さっさと自分らのところに帰っちまう。 Mm: ああ!でも旅は大勢で行ったほうがいい。だって歌は... C: ちがうね。お前の連れ(Murina)は(憑依霊たちに)借り(未履行の約束)がある。(彼の方を)見ちゃだめだぞ。(彼は)ほんとに盗人そのものなんじゃ。 Mm:(笑う) C: 盗むってったら、もうね、どんどん。最初はこっそり盗んでいたのが、今や(憑依霊たちに)見られていても盗む。で、泣きごとを言う。「ねえおまえ、仕事(kazi)がない(Chariについている憑依霊たちが仕事を停止した=Chariのugangaの仕事がうまくいかなくなった)。」たくさんの布が必要なんだ(それを求めている憑依霊たちがいる)。巻きスカート(hando)も入り用だ。別の奴らは巻きスカートを欲しがっている。さらに別の奴らが革帯を欲しがっている。みんな手に入れられないんだよ、あんた。 Mc: なあ、今はなぁあんた、つまりね... そんな風に私を見ないでくれ。なぁ、私にはやらねばならないこと(charo=字義通りには旅)があるのはわかっているよ。その革帯はお前はあれだよあれ。そしておまえの腰布も。巻きスカートについては、それを欲しがっているやつは大丈夫手に入れるよ。 C: へえ、先の長い話(charo)だな、あんた。
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Mc: なぁ、それらすべてのためにも仕事(kazi)を解いてください。こっちでは私たちはそれ(仕事)をしますから、どうか。小銭が手に入る。それで何を買う?食べ物です。ほら、こんな風に今は飢饉なんですよ。 C: さて、ここで小便しようかね。 全員: ああ、やめてください。 Mc: ここで小便するなよ、あんた。 Mm: そ、それは汚いよ、それは。 Mc: 今、家の中で小便するのは、よくないぞ。 Mm: ほんと、汚いよ。 C: なに?あの連中(イスラム教徒の憑依霊たち=きれい好き)が小便を嫌いに嫌っているってか? Mc: ちがう、ちがう。外へ出て。中で小便しないで。 C: わしは家の中で、噛みタバコを吐き散らし、大便し、小便もだしまくるぞ Mc: やめろよ。そんなことしないで。お前の家でもそこでお前は排便するのか? C: (聞き取れないささやき声)...ちっぽけな場所。おまけにわしには布(着るもの)もない。見てくれよ、見てくれよ。 Mm: ああ、布ならあなたにも差し上げますよ。 C: 布一枚っきり。一人前の長老が、今こうしてこの場所で裸でいろと? Mc: 毛布も差し上げますよ。 C: 腰をおろそうとしたら、お尻丸出しになるぞ、あんた。 Mc: 腰布も差し上げますよ。あんた、腰布も。商店で探してまいります。
7991,
C: わしは分別なしじゃな、ええ? Mc: あなたのことはよく存じ上げております。 C: わしには分別がない。だからこの場でも小便できるんだ。ほら、もう。 全員: やめろ、やめろ。 C: ここに小便を流したら、それはそこにとどまり続ける。乾かないぞ、どうだ。 Mm: だめですよ、あんた、だめですよ。 Mc: ああ、小便はしないで、あんた。小便の不思議の技をおもちだというのなら... C: もしわしが小便しなければ...そもそもな、わしは小便するとなったら、この家じゅうに小便しまくることもできるぞ。 Mm:(笑い出しながら)そんな、そんな、そんな、あんた、そんな! C: やれやれ、疲れちまったぞ。おまえ。 Mm: もう、妖術(utsai)だね、妖術そのもの。 C: あんた、仕事(kazi)といえば、そもそも財を最初にもたらし始めたのは他ならぬわしじゃぞ。人に聴いてみろよ。話してもらえるだろうよ。そもそもわしが財を手に入れ始めたんじゃ。わし、わし、最初に始めたのはわしじゃ。 Mc: なあ、じゃああなたはどう思うんですか?とことん妖術でやられちまったのは。あなたが稼いだ財はすっからかんになったのです。あなたも言ってたじゃないですか。 C: ええ?わしがムハソ(muhaso)にやられたとおもってるのか?やつらが私に妖術をかけたと。でもほらわしはこうして生きてるぞ。 Mc: なぁ、それならあの財はどこへいったというのですか? C: お前が使ってしまったんじゃないか! Mc: わたしがあなたを治療したんじゃないですか!
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C: うむ。お前は私を治療する。私が治療されると思ってるな。しばしば、お前は私に「薬(mihaso=pl. of muhaso)」を大量にクツォザ(kutsodza=皮膚にカミソリで傷をつけて「薬」を擦り込む施術)する。その量といったら!もしかしてお前は私に妖術をかけている(unaniloga)のかも。 Mc: なぁ、私はお前の命を救ってやったじゃないですか。 C: わしに妖術をかけたのやら、私の命を救ったのやら。 Mc: あなたの命を救ったんじゃないですか!あなたはとことん「薬(muhaso)」(この場合妖術に用いる)を注ぎこまれたんだから、本当に、あんた。そうとも。 C: あいつらにか? Mc: どいつら? C: あいつらだよ。 Mc: え、あいつらが財産を使い切ってしまった? C: そんで、そんで、そんで、あいつらは稼がない。あいつらはまだ何も物を与えられていない。役立たずさ。 Mc: まだね。あいつらはひどいことをしていますね(ananyet'a)、ほんと。 C: ところで、お前は布を要求されている、お前。布を要求されている。(叫ぶ)アィェー! Mc: え、それってあの腰布(musware=男性用の長い腰布、サローンsaromb)のことですか、あんた。 C: なぁ、お前はそれを買うつもりなのか、お前? Mc: 私はそれをお前と一緒に買うつもりですよ。すぐにもあなたに買ってさしあげますよ、あんた。買ってあげますよ。ンゴマ(ngoma=字義通りには「太鼓」、憑依霊のための徹夜の儀礼を指す)の約束の日になったら、その布はその場にあるでしょうよ、あんた。 C: そのンゴマはわしのものかい、それとも誰のものだい? Mm: 腰布のためのンゴマですよ。その後が革帯の。 Mc: もちろん、わかってるよ。
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Mm: 革帯もね。 C: さらに、巻きスカート(hando)も、お前は彼女に買ってやるつもりなのか、それとも?もし買わなかったら、仕事は封じられてしまうぞ。 Mc: 買うよ、買うよ、それも買うよ。 C: 巻きスカート(hando ra mupangiro=きわめて細長い布を紐でつないで腰蓑のように腰に巻く伝統的衣装)だぞ、あんた。 Mc: 買うって言ってるだろう。でも彼女(Murinaの妻Chariを指している)は、物持ちがよくないんですよ。私が買ってやっても、気がついたら、彼女はそれをネズミが食い荒らすままに放置している。 C: 布、布、ところで、その布を買うのはいいが、別の問題にかこつけて買われるんじゃないか。結局、巻スカート(hando)もキトゥク(chituku=hando ra mupangiro 細い布で作られた腰蓑状のスカート)も調えられないままになるんじゃ?なら、それも問題だぞ。...なあ、ちょっとした少しばかりの太鼓(kagoma=dim.of ngoma)も与えられないのか? Mc: もちろん、あなたは(ンゴマも)手に入れますよ。約束の日時は、もう言ったでしょう、その日ですよ。 C: ちょっと!わしはイスラム教徒じゃないぞ。 Mc: そうじゃない。あなたたちのも開始される。おなじンゴマじゃないですか。 Mm: そうじゃない。そのンゴマはイスラム教徒だけのためにやってくるわけじゃありません。 Mc: イスラム教徒だけのために打たれるんじゃないです。 Mm: あなたがた自身も踊ることになります。 Mc: あなたがた自身も心ゆくまで踊ってください。イスラム教徒たちは締めをします。明け方に。 C: ああ、そうかい、じゃあ、なぁ。ああ、私たちもイスラム教徒たちの言葉を待つことにしよう。 Mm: (笑いながら)じゃあ、長老たちにお別れしましょう(=約束をつけましょう)。
7994,
Mc: さて、えー、私はここで月の2日目... Mm: 私たちはつつがなきことを欲します。 Mc: 最初の10日の、月の2日目だよ。太鼓をムジギ(onom.)っと打ちやぶらんばかりに! C: 今、ここでちょっとだけ先に、わしのためにやってもらうわけには? Mc: ここで、誰に? C: (予定のンゴマの期日までの)ちょうど真ん中辺で... Mc: 子供たち(弟子anamadziたち)は飢饉(nzala)に捕らえられて、皆まったく、ちりぢりバラバラになってます。 C: お前たち(イスラム教徒)は、ろくでもない理由で、日ちゅう空腹(nzala)ですごすなんて仕事をしたがってるからな(ラマダーンについて皮肉っている)。いやはやなんとも。 Mc: 飢饉に捕らえられてるのですよ。一人も弟子はいない。あなたの治療上の子供は、誰一人としてここにいない。みんな逃げてしまった。もう私がそいつらを探しにいくしかないですよ、あんた。その月の、約束のしかじかの日にあわせて、彼らを押さえておかないと。 C: では、このわしと一緒にやってきたこいつ、仕事を欲しがっているんだが、こいつに仕事はあげないのかい? Mc: えっ、誰のことです? Mm: ああ、私たちに教えて下さいよ。 Mc: 私の仕事は語るという仕事です。もし仕事がほしいと言っている人がいるなら、彼は一体誰なのか、自分の名前を私に言わないと。私に言ってください。「私は某がしです。私はしかじかのものがほしい」と。それだけのことです。
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C: ああ、お前さん、嘘ばっかり。 Mm: ちがう、ちがう。私に教えて下さいよ、あんた。 C: わしじゃないぞ。わしじゃない。わしじゃ。なんと、わしはもう腐りかかっているぞ。腐りかかっているぞ。 Mm: いったいそれは誰なんですか、あんた。 C: もうわしは泣くぞ。 Mc: ああ、泣かないで、我が友よ。第一、私はあなたに差し上げますよ。ご存知でしょう。私はあなたに買って差し上げるのです。嘘はつきません、あなた。 Mm: やって来て、仕事をほしがっているのは、いったい誰のことですか。 Mc: 私は、イスラム教徒(の霊)たちの対処をしないといけないのです。どうかわたしのことは置いておいてください。 C: わしはそいつのことを知らんのじゃ。 Mm: ああ、友よ、教えて下さい。 C: わしは知らん。(泣き出す) Mc: ああ、泣かないで。泣かないで、泣かないで。 Mm: ところで、いったいなんで泣いているんですか。 Mc: 泣かないで、あんた。あなたは(欲しいものは)手に入りますよ。さあ、泣きやんで、友よ。 C: (大泣きする) Mc: さて、あんた、泣きやんで。長老は泣いたりしないものですよ。 Mm: ああ、泣きやんで、泣きやんで。
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Mc: 泣きやんで、泣きやんで。耳を傾け合う者は泣いたりしません。泣きやんで。布が問題だというのなら、あなたに差し上げます。歌(カヤンバ儀礼の意)も差し上げますよ、我が友よ。 C: わしの問題を言ってやる、さらにここにいる者たちのことも話してやる。 Mc: そうです。それこそ癒やしの仕方というものです。さあ、泣きやんでください。 Mm: どうか、ちょこっと打ち明けてくださいな、あんた。 Mc: さあ、泣きやんで。泣きやんでください、我が友よ。 Mm: ちょっとだけでも打ち明けてください。私はあなたのドゥルマ人仲間ですよ。だって、私の出身地はあなたと一緒。私の名前はジブンゴDziphungo、父の名はムァンドロMwandoro。ムァヂネMwadzine氏族そのものです。私は。(子供名)だってベムカラBemkalaなんですよ。 C: おお、そうかい。(笑い出す) C: おまえ、私が泣いていると思ったのかい。いいや、いいや。全然! Mm: あんた、私はね。あのベムカラさん、たくさん牛をもっているあのベムカラさんは、私のaphu(母の兄弟)なんですよ。ええ。 C: わしはおまえのことを観察しとったんだよ。もしかしてお前がわしを嫌っとるんじゃないかと。ああ、違った。なんとお前も長老(ご同輩)じゃった。 Mm: ああ、それでは、ちょっとだけ教えて下さいな。あなたと一緒にやってきて、あなたが彼の不思議の技を私たちに見せようとしていらっしゃった者が誰なのかを。
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C: ホゥフィー(大きなため息)。わしはもう行くぞ。お前たち、まさかそいつがなんて言い出すなよ。わしは、わしは、わしは、他の奴らが来たら、結局隅に追いやられるってわけか、あんた。お前の連れ(Murina)、そいつが知っているよ。知ってるよ。 Mm: なぁ、私にこそっと教えて下さいな。 C: 打ち明けてくれって、そいつが私の一族(同じ部族)のやつだとでも言うのかい。 Mm: たとえあなたの一族じゃないとしても、あなたはそいつのことをご存知なんでしょう? C: 大人のギリアマ人たちさ。 Mm: かれらは大人のギリアマ人? C: だけどお前、タタタタ、教えてもらっただろう、タタタ、教えてもらったなら、タタタ、教えてもらったなら。ああ、お前は教えてもらった、なのに、なんとね、お前は... Mc: なあ、私は... C: ちょっとお前。お前、ンゴマのこと聞かされただろう。聞かされているよ。なぁ。お前、わしにも言っただろう。お前が言うように、わしこそが... Mc: さて、私はそれらあれこれについて拒絶しませんでした。つい先日、話されたことなんですから。例の巻スカートについても、私は買って差し上げます。ンゴマについても実施します。癒やしの仕事については、ねえ、物事はゆっくりゆっくりですよ。私は仕事が望みです。仕事こそ癒やしの術を差し出すものです、友人のみなさん。 Mm: そのギリアマ人っていうのは誰ですか? Mc: ところが、そいつの名前は忘れちゃったんだ。
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Hamamoto(H): そいつはもしやサンズワSandzuwaでは? Mm: サンズワ.. Mc: うん、そうだ! Mm: ボニ人じゃなくて? H: それともピニPiniだったっけ。 Mc: それってサンズワのことじゃないか。 H: ピニが? C: そう。じゃが、ピニと呼んだほうが良いかもな。そうそう、ああそう。
(Chari突然歌い出す。Piniに憑依されたのか?)
Nariwa howa ee howa... 私は食べられるよ、ああ、そりゃそりゃ。
Mm: そう、そう!
(Chari歌い続ける)
Aeoo howa narira ee ええ、そりゃ、私は泣くよ narira howa ee narira howa ee
(Chari再びすすり泣き始める)
Mm: さあ、落ち着いて、落ち着いて、落ち着いて。良き日が到来しますよ。良き日がやって来ますよ。 Mc: 私はね、お前におとなしく休んでいてほしいんです。あなたの仕事については、私はお差し出ししますよ。こんどのと同じように。 Mm: あの者たちにまずあたえ、それが済んだら、さあ、もしピニとおっしゃるなら、あなたがやって来て、あなたピニの仕事をあたえられることになります。
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C: ホウフィイ
(Chariまた歌い出す)
narira howaa ee 私は泣くよ、そら howaa mayo そら、お母さん kazi yangu ee 私の仕事はよー utsungu na moyo ndahendadze mino 心の痛みをどうすりゃいいんだよ、私は
(Chari再びすすり泣く)
Mm: 落ち着いて(pore)、落ち着いて、落ち着いて。 Mc: ああ、そんなふうに泣いたら、お前が泣いたら、お前は台無しにしてしまうよ。お前も言ったじゃないか。今は泣いちゃだめです。だって調えて差し上げるんだから。さあ、泣かないで。泣くのはきっぱりやめて。 Mm: 静まって、静まって。(ギリアマ語で)だめ、だめ。 Mc: (ドゥルマ語で)あなたは語った。そして聞きとどけられた。今は、見ていてください。あなたが手に入れるだろうか、それとも手に入れそこなうだろうかと。あなたが手に入れそこなうことにはなりませんよ。あなたには与えられますとも。だから、きっぱり泣くのはやめて。解いてください。 NMm: (ギリアマ語で)お仲間たちにもそのようにお話ください。 Mc: (ドゥルマ語で)けれど、私の望みはつつがなきこと(uzima)です。そしてどうか仕事を解いてください。仕事こそ、仕事をもたらすものです。ただ座っているだけでいないでください。仕事なら私があなたに差し上げます。あなたピニの癒やしの術です。私が望んでいるのは、仕事とつつがなきことです。
8000, (Chari、われわれ3人と順に握手してまわる)
H: さあ、さあ、解いて、解いて。身体を解いてください。仕事も解いてください。私たちはつつがなきことを欲しています。解いてください。 C: ホゥフィー。あああ、いいい。 Mc: さて、そのまま穏やかに(poreni)。癒やしの術なら、私は拒みませんでした。私は差し出しますとも。でも肉は2つ同時に頬張ることはできないのです、友よ。まず今のこれを調えさせてください。それが終わればすぐにあなたがたの方に取り掛かります。
(Chari、沈静化して去る)
Mm: (笑いながら)ああ、なんと、こんなに騒がしい長老だとは。あの人は。びっくりです。 Mc: (笑いながら)ああ、心配ないよ、あんた。なんとか片がつくよ。 Mm: こいつはこのあと埋めておくのかな?それとも水に浸けておくのかな。太鼓は夜明けまで打つんですよね。ディングァ、ディングァ(Dingbwa dingbwa 太鼓を打つ音の擬音語)。こちらの地域では、太鼓打ちの専門家(達人、職人=fundi)はいるのでしょうか。 Mc: 太鼓かい? Mm: このあたりで。 Mc: ああ、なんの問題もない。ボコボコ叩かれるさ。 Mm: なるほど。あなたがたご自身、太鼓打ちなんでしょうか、もしかして。 Mc: いえいえ。太鼓打ちの専門家たち(mafundi)はいます。私はちょこっとかじっただけですよ、あんた。 Mm: ああ、もうすぐ夜明けだ。
(Chariはいまや沈静化して、ぐったり腰をおろしている)。