講義メモと参考文献


第13回講義

歴史と想像力

歴史と想像力

   植民地化の歴史の中で動いていた具体的な主体(エージェント)
     彼らの意図や企て、行為はどのていどまで特定の想像力の図式によって
     拘束されていたのか

     植民地的想像力

       未開/文明の二項対立に象徴される特殊な図式

          近代化の想像力でもあった


想像力と現実

     「認識」という用語をあえて避けてきたわけ

     現実に先立つ図式にもとづく能動的認識=想像

       能動的知覚 active perception (Neisser 1976)


       サルトルのグラフ


     能動的認識であることの帰結

       想像の現実化回路


     人間にとっての環境世界の特殊性(ジンメル 1979)

         物と自然世界:自らが認識されることを顧慮してその行動を変えたりしない

         人と社会的世界:相手の認識に合わせて行動を変える
    
           
         「人間の間のいっさいの関係は、一方についての心像を他方の中に生じさせ、           そしてこの心像は、明らかに右の現実の関係と相互作用している。           すなわち、この現実の関係が前提を作り出し、この前提に基づいて一方の           他方についての表象があれこれと生じ、さらにこのばあいに正当とされる           真実性をもつのである。ところが、他方では諸個人の現実の相互作用は、           諸個人が互いに手に入れた心像に基づいてもいる。この場合精神生活の深           遠な次のような循環のひとつが横たわっている。すなわち、そこではある           要素が第二の要素を前提とするが、しかしこの第二の要素も右の第一の要           素を前提とするという循環である。」           
        合わせ鏡効果(Taussig 1993) 今日のアフリカにおける想像の呪縛    否定的認知の現実形成力    国民国家形成/市民社会

参考文献

G・ジンメル 1979『秘密の社会学』居安正訳、世界思想社

Neisser, U., 1976, Cognition and Reality, San Francisco: Freeman

Sartre, Jean-Paul 2004, The Imaginary, London & New York: Routledge

Taussig, M., 1993, Mimesis and alterity: a particular history of the senses, London & New York: Routledge

Ferguson, J., 2006, Global Shadows: Africa in the Neoliberal World Order, Durham and London: Duke University Press.