講義メモと参考文献

第三回講義

スワヒリ海岸の歴史 〜１９世紀

今回の講義の目的

１９世紀半ばまでのスワヒリ海岸の歴史を概観し、オマーンによる東アフリカ海岸部支配を中心に、イギリスによる植民地的介入に先立つ社会形成について紹介する。

スワヒリ海岸とは

スワヒリ← sawahil（海岸 サーヒルの複数形）

ソマリア Benadir 海岸の南 スワヒリ発祥の地 Shungwaya
ソマリア／ケニア国境 Lamu 群島
タナ川以南 Nyali 海岸（マリンディ、モンバサ）
タンザニア国境 mrima 海岸（Vumba などの小都市国家群）
ルフィジ川以南 Mgao 海岸（キルワ）

肥沃な海岸部自体は、幅せいぜい２０キロに満たない狭い帯状の土地
Nyali、Mrima 海岸の後背地、ザンジバル、ペンバ両島は比較的肥沃で この地域一体の穀倉地帯

スワヒリ人

５０万人
スワヒリ語: 北東海岸バントゥ サバキ・グループ

漁労、農耕, しかし彼らの富のほとんどは海上交易に由来

海上交易とモンスーン

地図[モンスーンと海上交易］

ペルシャ湾までの２０００マイルをほぼ一ヶ月以内で航海

スワヒリ海岸小史

スワヒリ社会〜１９世紀

王（mfalme）、王妃（malkia）によって治められるアラブ・ペルシャ風の小都市国家
王家は shirazi ペルシャ起源を主張
生活レベルもインド洋沿岸諸都市と同様

ポルトガル、オマーンによる征服の歴史

ポルトガル ＜実利と幻想＞

金と香辛料
伝説のエチオピアのキリスト教王 prester John の王都の発見
イスラム→キリスト教

主たる関心はモザンビーク
1505 Sofala に砦 ザンベジ・ルート ＜金、奴隷、象牙＞
1592 モンバサ占領
モンバサに fort Jesus
1729 オマーンによりスワヒリ海岸から追放される

ポルトガル人は、そこに見出したものを破壊する以外に、スワヒリ海岸に何ももたらさなかった。

オマーンによるスワヒリ海岸支配

オマーン帝国のスワヒリ海岸への関心
潅漑のための奴隷の供給源
1700年代 奴隷が最大の輸出品目
↓
プランテーション経営

モンバサ、オマーンのスルタンにポルトガル人を追い出すよう依頼
1729 ポルトガル人、モンバサより永久に駆逐
マズルイ（Mazrui）統治

オマーンでの王朝交代（1740s Yaarubi→Busaidi）にともない事実上の独立
ブサイディ←→マズルイ抗争

オマーンのザンジバル進出

オマーン内政：宗教的政治的支配者→経済エリート

1802 セイード・サイド１１才
王位継承

1830s ザンジバル、ペンバに clove plantationを開く
奴隷の域内交易の増大

1837 モンバサを支配下に置く（英国保護領 1824〜1826）

1840 ブサイディ家のセイード・サイド首都をザンジバルに
Mrima海岸を支配下に置く

1856 セイード・サイド死 オマーン帝国分裂 マジド即位

1870〜の１８年間のスルタン・バルガシュの統治時代、ザンジバル は富み栄え、その栄華は世界にとどろく

奴隷労働にもとづくプランテーション農業、香辛料、象牙交易

参考文献