H.G. Wells "The War of the worlds" 1898
ケニアがイギリスの植民地となるのが 1895
火星人にとっての地球人=我々の眼に映るサルやキツネ同然の異質で低級な存在
火星人は、世界を自分たちの環境に作り変えていく(地上を覆う赤い植物)
黒い煙 black smoke による人類抹殺
「彼らをはげしく非難する前に、われわれ人間がどれほど冷酷かつ徹底的な破壊をもたらしてきたか想起せねばならない。すでに絶滅してしまったバイソンやドードー鳥といった動物に対してだけでなく、同じ人類の我々よりも劣った種族に対しても。タスマニア先住民は、同じ人間なのに、ヨーロッパの移民による絶滅戦争で、わずか50年でこの世から抹殺されたのである。仮に火星人が同じ気持ちで我々に戦いを挑んできた場合、それに文句を付けられるほど、我々は慈悲深さの使徒といえるだろうか。」(Wells 2005(1898):9)
この物語の結末は?
火星人が地球の病原菌によって滅ぶそれが意味しているものは?
↑
火星人の進んだ衛生学によって、彼らが太古に滅ぼしてしまった菌
文明(火星)に対する未開(地球)からの反撃
↓
植民地の未来の不安
地球 火星 ---------------------------------------------------- 未開 文明 後進性 先進性 不潔 衛生 非合理 合理 被害 加害 人道的 残虐 被植民地人(先住民) ヨーロッパ人
16世紀以来のヨーロッパによる他世界の植民地化の歴史の変曲点
16世紀〜の新大陸etc.への植民しかし18世紀から19世紀ヨーロッパの拡張の舞台となった地域では逆のことが起こった
ヨーロッパ人が持ち込んだ病原菌による現地人口への打撃
自分たちが病気を持ち込んでいるという自覚はない
→病気で死んでいくのは原住民に対する罰
「ウィリアム・ブラッドフォードは天然痘との接触によりコネチカット川先住民たちが『腐ったヒツジのように』死んで行くのを見て、『神の善性と恩寵により、一人のイギリス人として、病気になることなく、この病気によって汚されることもなかりし』と満足をこめて記している」(Bewell, A., 1999:5)
イギリス本国での軍隊の内部の致死率 15.30/1000植民地的現実→文学的想像力
シェラレオネ 483.00/1000 → 白人の墓場
アフリカという空間そのものが穢れ病んだ空間として表象される
想像 ≠ 空想・夢・非現実
現実構成的想像 ⇔ 想像の現実的基盤
植民地化は、単なる征服や略奪とは異なり、地球規模での、社会、経済、精神生活のすべての領域におけるきわめてシステマティックな介入のプロジェクトであった。単に西洋にとっての異世界が西洋の手によって作り変えられていくだけでなく、ミッチェルが述べているように、それは西洋(資本主義)がその「構成的外部」との関係のなかで自己成形していく過程でもあった
近代化するということは、近代的なものと非近代的なものの区別をたてること、自己の現在と未来とを、この光のもとで再評価することに他ならない。この中でのみ、「近代化する」とはどういうことであるのか、その内容が確定していく。つまりそれは想像的・表象的実践でもあった。
進化主義の図式、進歩の理念 Darwin 種の起源 1859 Spencer 'Progress: Its Law and Cause' Westminster Review 1857 速度感 非近代的なものの同定と消去、視界の周辺部で消え去り行くものを通じて 進歩の確認を手に入れる
Bewell, A., 2003, Romanticism and Colonial Disease, John Hopkins Univ. Press.
T・マン, 2000, 『ヴェニスに死す』実吉捷郎訳, 岩波書店
Mitchell, Timothy ed., 2000, Questions of Modernity, Minneapolis: University of Minnesota Press
Shelly, M., 2015, The Last Man, Vol.1 & Vol.2, Forgotten Books
W・シヴェルブシュ, 1997,『鉄道旅行の歴史:19世紀における空間と時間の工業化』加藤二郎訳, 法政大学出版局
H・G・ウェルズ, 2000,『宇宙戦争』(創元SF文庫)、井上勇訳、創元社
Wells, H.G., 2005(1898), The War of the Worlds, with an introduction by Brian Aldiss, Penguin Classics.